事例紹介

航空宇宙アプリケーション

適用業務:タービンパワー

ユーザー ペンシルベニア州立大学/ターボ機械移動体研究所航空宇宙部門
会社概要 ターボ機械移動体研究所航空宇宙部門は流体力学、ガスタービンエンジン内部の空気の流れや熱の動き、対流熱伝達について研究しています。
所在地 米国ペンシルベニア州ユニバーシティーパーク


課題

エンジンの内部のような厳しい環境の中での測定は、特殊な設備、創意工夫、忍耐を必要とする困難な作業が求となります。また、大量かつ重いデータを処理できる強力なソフトウェアツールを必要となる上、危険な作業であるため数回行うことはけんめいではありません。ブライアン・ウィッドナー(Brian Wiedner - ペンシルベニア州立大学工学部の大学院学生)は、研究の一環としてガスタービンエンジンの熱伝達特性を測定する研究を行った。

タービンの構成要素のデータ分析

ガスタービンエンジンは、重量や体積のわりに高出力が得られることから、現在ではほとんどの航空機に動力源として用いられています。また、燃料から電気への変換する効率が市販の動力源の中で最も高いので、ガスタービンは世界の至る所で非常に効率的な動力源として使用されています。ガスタービンは遠心式又は軸流式の回転式圧縮機の燃焼用空気を圧縮して燃焼器に送り込みます。その際に発生した高温高圧の燃焼ガスが遠心式もしくは軸流式タービンを回転させます。最近のテクノロジーの進歩は燃焼用空気の温度の上昇によるものです。そして近年では、軍用機エンジンで1537度くらいまで上がり、さらに温度は上がっています。燃焼用空気の温度は上がり続け、タービンの構成要素の限界まで上がるに違いありません。

 
問題の解決

信頼できるデータ解析ソフトウェア

ブライアン・ウィッドナーのグループはタービンの耐久性を上げ、なおかつコスト的にも優れた方法を開発するために、圧縮された空気から燃焼器への熱の移動の物理的なメカニズムを検討しています。気流を計測するためにウィッドナーが使用する設備は数多く存在します。また、彼のデータ分析ソフトウェアに関しても数多く持っており、DADiSPもその中の1本です。

 

問題の解決

ウィッドナーのグループは、エンジンの内部の空気の流れをシミュレーションするために屈曲した風洞を使用することと、グラフィカルなデータ解析ソフト「DADiSP」によって、難しい測定環境に対処しています。

熱伝達特性

風洞実験は、四角く十字に区切られていて90度回転するダクト内で行なわれ、本物と同じく複雑な空気の流れを作り出し、 実際のタービンの経路内部の熱伝達現象を作り出します。 速度の変動は乱流を起こし、トンネル壁に向かって吹く自由気流が熱伝達特性に大きな意味を持つ事が分かりました。 したがって、ウィッドナーは、トンネルを通り抜ける気流を様々な試験区間で測定し、データを集めて熱伝達率の分析と関連させるために「DADiSP」を使用しています。 データは、コントロールされたワイヤーのセンサーと風速計から成る熱線風速計システムで集められます。パソコンによってコントロールされたデータ収集カードは、15kHzのレートでセンサー出力をサンプリングします。サンプリングされた信号は自由な流れ速度データとして変換され格納されます。データはコンピューターのハードディスクに記録され、次に、「DADiSP」で処理する準備ができます。

カスタマイズ機能
 

波形分析

「DADiSP」は、波形の変動する部分を抽出し、変動の自己相関をとり、その極大値を標準化するために使用されます。次に、ピーク値および一番目の0に交差したデータが捜し出され、不可欠な長さ情報を得るために平均速度によってデータの統合と増加に使用されます。DADiSPのRMS(二乗の区間平均の平方根)関数は平均速度の1パーセントとして変動の強度レベルを見つけるために使用されます。この解析手順は、風洞の流れ部分および乱流が発生したいくつかの位置で取得したデータのセット数分繰り返されます。そして「DADiSP」は同じ場所で得られた熱伝達率を比較します。生まれた相関性は、気流が熱伝達に影響する関連性について考察を与えてくれます。

 

DADiSPの大きな利点

ウィッドナーがDADiSPに関して最も評価する特徴のうちの1つは大きなデータ・ファイルの表示ができることです。「私たちは、高いサンプリングレートのデータの数秒間のデータを何回も繰り返し計測します。したがって、私たちは、データを連続的に呼び出し・表示させ、連続的に分析する必要のある、非常に大きなサイズでしかも大量のファイルです。」ウィッドナーは、さらに「DADiSP」への感謝が彼の研究所において大きな物である事を述べて、「私たちが必要とする多くの機能を1つのパッケージソフトとしてまとめて持っていることが大きな利点である」と言っています。 ウィッドナーはその研究で述べています、「タービンの構成要素をより効率的に冷却、保護する設計を可能にし、タービン設計エンジニアに様々な問題に対する答えを提供しています。その結果、タービンは改善され、さらに効率的に作動することができるでしょう。」また、この研究が21世紀のガスタービン産業を推進させるだろう」と彼は言っています。