事例紹介

生物学アプリケーション

適用業務:不妊性の解析

ユーザー 医科大学、産婦人科学部
会社概要 生殖生物学と薬学部は、人間の不妊症の診断と治療を専門としています。
所在地 デービス、カナダ


課題

コンピューターによる精子の分析(CASA)は男性の不妊症に関する研究に対して重要なツールとなりましたが、研究者によっては手動で行う測定技術の方がCASAより優れているとは思っています。人間の精子はまっすぐ泳ぐだけではないので運動を解析することは非常に困難です。泳ぐ方向を変える際には頭だけでなく、尻尾も動かします。精子細胞の動きのパターンと活発さが精子の健康の指標であるので、この動きを性格に解析しモデル化することが重要です。

隠れたパターンのための新たな解析

精子の運動をモデル化するためには、動き自体を多少単純化しなければなりません。しかし、何を単純化すればいいのかを見つけることは非常に難しいことです。現在利用可能なCASAツールは平均的な精子の軌道を固定長移動平均を用いて精子の曲線軌道を滑らかにすることによって計算します。また、精子の頭の部分のみ考えて測定します。カルフォルニア大学デービス校の産婦人科学部のRussel Davis, Paul Niswander, David Katzの3人の研究者によって、この測定方法では多くの情報を失う危険があると判明しました。それは精子サンプルの動きに関する不確実な結果を招くことに繋がります。このタイプの測定は、不規則に泳ぐ精子の軌道によって画像が歪んでしまうので、不正確な計算が、平均軌道の速度(VAP)・外側頭の変位(ALH)・平均経路との交叉回数(BCF)・曲線軌道の曲がり具合(WOB)・曲線軌道の直線成分(STR)のような精子の健康状態を評価する重要な測定を不正確にします。Dr.Davisと同僚は、誰も見つけたことがない精子の軌道パターンを見つけるためには新しい解析手法が必要だと感じています。また、そのためには新しいCASAツールが必要になると考えられています

 

問題の解決

Davis氏と同僚は精子の運動解析に対する別のアプローチとしてDADiSPを用いました。彼らは新しい方法は、以前の方法に比べて精子の運動をより性格に特徴付けることが出来ると考えています。

 

平均値の調整

固定長移動平均(FLRA)解析手法を精子に適用することで精子の軌道を滑らかにしすぎたり、しなすぎたりするといったことが起こります。科学者が全ての細胞の平均値を出そうとした場合、これらのミスはどんどん積み重なっていきます。Dr.Davisと同僚によって提案された新しい手法は、各曲線軌道の主な空間的振動の波長を変えるような精子細胞の軌道の移動平均の幅を状況に合わせて適応させます。精子の軌道の正確なモデリングこの新しい測定手法を用いることで実現できます。つまり、精子の健康状態をより正確に判断することが可能となります。

物理的なデータの整理

毎秒200フレーム撮影するハイスピードビデオカメラとレコーダーを用いて、37℃の精漿を泳ぐ精子の最初の観測が行われました。軌道を記録・デジタル化し、1秒(データ点数200点)あたりの物理パラメータを解析しました。研究室で書かれたプログラムであるPathToolに軌道データをインポートします。PathToolとは精子の平均長とDADiSPへ入れられた2つのベクトルを基に調和解析をするものです。高速フーリエ変換(FFT)を基にしたこの新しい測定法は、かなり不規則な動きから生じた周波数と振幅を明らかにすることができます。それらには基本的調和運動(HAR)・HARの大きさ(MAG)・HARのバンド幅のパワー(PWB)を含みます。これらはDADiSPのワークシート内では簡単に計算することが出来ます。

 

予備データ解析

Dr.Russel DavisはDADiSPの使いやすさのことを「DADiSPの重要な特徴の一つである」と述べています。彼は、DADiSPが、信号処理において、異なる信号を用いて行うようなものであってもその多くを扱うことができるという点を気に入っており次のように述べています。「予備データ解析には非常に便利である。」DADiSPは今まで不明確だった精子の動きのパターンと周期性を発見したいというDr.Davisと同僚の願望に答えました。

 

DADiSPは研究を成功に導くものである

彼らの発見から、Davis氏と同僚は、彼らの方法の検証を活発的に勧め、新しいCASAツール用に提案しました。最後に、俺らの研究の努力は、不妊調査に適用するに値する手法を確立したといえます、また、DADiSPもその成功に大いに貢献したといえます。