事例紹介

生物学アプリケーション

適用業務:昆虫音の分析と合成

ユーザー コネティカット大学 生態・進化生物学部
会社概要 生態・進化生物学部は進化論と進化生態学に研究に特化した学部です。
研究分野は、動物の意思伝達・種の始まり・分類学・行動生態学・塩湖や
森林の生態学等です。
所在地 ストーズ、コネティカット州


課題

生き物から発せられる音や音以外の振動する信号の獲得や分析というのは、研究者の表現するような「自動化」をすることを目標としています。コネティカット大学のDr.Charles Henryは、交尾の研究を行うために昆虫の鳴き声を総合的に扱いました。彼は、害虫駆除に長く使われてきた小型のミドリクサカゲロウという繊細な昆虫の鳴き声を研究しました。クサカゲロウは、クサカゲロウにしか聞こえない鳴き声を発します。鳴き声の聞こえる範囲は最大1メートルです。また、その鳴き声は人間には聞こえません。その複雑でとても狭い範囲の非常に低周波な鳴き声は、求愛行動や交尾をする際に起こる昆虫の腹部の急速な縦振動によって発されます。鳴き声のどのような特徴が昆虫に対して重要であるかを決定するため、Dr.Henryは鳴き声の特徴部分を人工的に結合させた鳴き声を用いて実験し、その反応を観察しました。

柔軟な解析

クサカゲロウの鳴き声や他の生物が発する信号の研究を行うためだけに専門的な研究所を建てることは非常に高くついてしまいます。それは、解析機材は一つか二つのことを行うしかできないからです。例えば、アナログオシロスコープはその時々の振幅測定に非常に便利ですが、信号をボルト(振幅)と時間のグラフの表示にするだけです。それに単位時間ごとに電圧のピークを数えることは、研究者にとって効率がよくありません。スペクトルアナライザーやソナグラフのような他の装置も信号のレベルの除法を表示するために用いますが、それ以外には用いられません。多機能をもつ装置はそれゆえDr.Henryの研究に非常に有効なものになります。さらに、生物を研究するような研究室は十分柔軟な対応ができて、なおかつ大量なデータを保存するのに効率的でなければなりません。

 

問題の解決

Dr.HenryはDSP Development Corporation社のデータ解析ソフトのDADiSPを見つけました。 彼は1988年にこのDADiSPを昆虫の鳴き声の解析・統合に用いました。

 

クサカゲロウの解析

データ獲得システムにはIntelligent Laboratory InterfaceのCED-1401を用いました。この装置はデジタル録音・再生が可能です。研究室の実験基盤はプラスティックで覆われたダンボールでできたコーヒーカップです。クサカゲロウがプラスティックの「ステージ」に置かれると、クサカゲロウは鳴きます。圧電変換器はプラスティックの振動から信号を拾い、超低周波と超高周波を除去し、ゲインを制御するためにTektronix AM502に送ります。アナログ信号の部分をデジタル化するために、無関係な全ての高周波成分は可能な限りローパスフィルターによって除去されます。

波形の統合

鳴き声が記録できたら、昆虫をテストするための準備として広範囲な波形編集と波形生成が行われます。Dr.Henryは、特定の信号に対して雑音除去・信号の要素の切り取りと連結・新しい波形の生成をすることによって振幅を変える処理ではDADiSPの数学的能力を頼りにしてきました。一度DADiSP内で新しいテスト信号ができたら、D/Aコンバーターを通して再生することができ、昆虫の反応を観察することが出来ます。この合成信号への変換によって昆虫の振る舞いが根本的にかわるなら、Dr.Henryはそれぞれの信号の特徴というのは、昆虫が仲間を見つけるのと同じように昆虫に違いを与えると結論付けました。

 

速い波形作成機能と簡単な編集機能を兼ね備えている

「DADiSPが好きな点の一つは配列のまま数学関数を適用できて波形を変えることが出来る能力を持っている点です。」とDr.Henryは言いました。プログラムサポートによる視覚表現と瞬間的なウインドウの更新も評価しています。信号の編集と生成をDADiSPで行い、成功した事に基づいて、彼は、もっと複雑な信号も統合することが出来ると強く主張しています。また、彼は、開発した方法は動物の意思伝達や行動生態学の研究において非常に広い範囲の研究にも適用できるだろうと考えています。