事例紹介

バイオ医学アプリケーション

適用業務:どもりと言語障害研究のためのデータ分析

ユーザー ニューヨーク医科大学/Vocal Motor Control Laboratory
会社概要 ニューヨーク医科大学は、どもりと痙攣性発生障害のような病理学の調査と研究をしています。
所在地 バルハラ、ニューヨーク


課題

歴史的に人間の言語障害は、物理的な原因よりも精神的な原因があると言われています。最近までは、どもりや痙攣性発生障害のような病気の調査には技術的な限界がありました。ニューヨーク医科大学のDr. Rick Roark達は、発話問題の心理的・生理的側面からの解決策を得るために、正常な人と言語障害を持つ人の中枢神経の機能に対する理解を得るためにPCベースのコンピュータを用いています。解決策を得るため、研究チームは困難な技術的問題を解決しなければなりませんでした。

膨大なデータによる困難な解析

上記のような研究というのは、膨大なデータ・定量的尺度の複雑さ・被験者からの侵略的な生理的データの獲得によって特徴付けられるので、どんな健康科学の分野の研究所においても器具を選ぶのが難しいのです。データセットが大きくなると解析速度は遅くなってしまいます。複雑なデータの切り取りや解析はコンピュータのパワーを大量に必要とすることから研究コストは膨大になってしまいます。データは、最初のデータセットが十分でなかった場合、再獲得するのが困難です。会話する際の多彩な体の動きを測定することや、動きと会話の相互作用を解析することは困難ですが、問題に対する正確な評価をするには最適な手段と言えます。カスタムしたPCによって、被験者に巧妙な測定技術を用いることや、ギガバイト単位のデータの結果を解析によってDr. Roark達は長い間誤解されてきた病気の実態をつかみました。

 

柔軟で、利用しやすいソフトウェアの必要性

彼らの研究には、多様な器具と数種類のサンプリングレートを用いたデータの獲得や、データの分類・表示・解析中でさえ、複雑で多次元なデータの切り取り作業を行えるようなシステムが必要とされています。チームが用いるソフトウェアは柔軟で、利用しやすく、専門家による技術サポートができなければなりません。

 

問題の解決

Dr. Roark達は、膨大なデータ獲得と解析システムの中核となる表示・解析ツールとしてDSP Development Corporation社の画像表示・データ分類ソフトウェアであるDADiSPを用いました。彼らのシステムは、健康科学の多数の分野で広く使えるアプリケーションとなりました。Vocal Motor Control Laboratory(VMCL)は、世界中において他の2つの研究所しかライバルがいないほどの能力を持っています。それらは両方ともメインフレームが基盤となっています。

生理学的測定

生理学的測定

VMCLはパソコン技術を基にしています。データの典型的な獲得方法には、被験者に多数のセンサーを取り付ける必要があります。これらのセンサーは、被験者が言葉もしくは文章を話している間においてサンプリングレートを数種類変化させ、時間と同期した生理的測定結果を最大16回分記録します。多くのデジタル信号処理ソフトは異なるサンプリングレートを同時に用いることは出来ませんが、DADiSPではそれが可能です。一つのセッションにおいて、獲得したデータには5kHzでサンプリングした8つの筋電図信号(筋肉に電極を繋いだときに生じる電気的な筋肉の潜在的な信号)(EMG)と20kHzでサンプリングした、鼻もしくは口内に入れた器具から獲得できる2つの咽頭部の運動信号、200Hzでサンプリングした2つの呼吸信号、10kHzでサンプリングした音声信号が得られます。喉頭部のビデオによる同時撮影は内視鏡によって行うことができます。ほとんどの被験者がこの実験を繰り返したくないため、信号の品質は完璧でなければなりません。

 

カスタム解析

関係する信号の数に応じると、典型的な実験では1人1秒あたりのデジタルデータは100,000バイト生じます。研究プロジェクトは正常な人10人・病気を持った人15人の計25人の被験者に2時間の実験を4回行う必要があります。プロジェクト中は、約50ギガバイトの生理データを得ることができます。そしてそのデータは磁気ディスクに保存されます。データの長期保存は、光媒体を用いることで容易になります。研究チームはDADiSPを用いてデータ解析をします。それはメニュー形式で、連続してリンクされたコマンドファイルを関係型データベースとして扱います。時間の記録、測定、切り取り、信号に注釈をつけることをすべて自動化しました。システムの一つの特徴は、ワークシートの他の全信号がユーザーの選んだカーソルに対応してウインドウに表示されている間、閲覧や編集をすることにたいしてワークシート内にある一つの信号の一部の時間の切り取りができるということです。得られたデータは自動的に更新・保存されます。蓄積したデータはまとめの統計解析と比較を行うためにスプレッドシートに移されます。

 

健康科学研究のためのDADiSP

Dr. Roarkは、現代の健康科学において、優れたアーキテクチャと多くの専門分野に渡る協力によって解決する必要があることから「健康科学の研究において、DADiSPにはそれを解決できるような非常にすばらしい潜在能力がある」と語っています。彼は、彼研究グループの成功の影には凄まじい努力があったと述べています。グループ内には2人の電気技術者、2人の医師、2人の発話科学者、2人のコンピュータ科学の専門家がいました。チームが大きくて高価なメインフレームコンピュータに代わってワークステーションを用いて優れた研究・開発を行ったことから、VMCLは、予算の少ない研究グループから関心が集まっています。