事例紹介

生物医学工学アプリケーション

適用業務:感覚受容器の研究

ユーザー ウスター工芸大学/コンピュータ工学部
会社概要 ウスター工芸大学には、電気及びコンピュータ工学の学部と大学院コースがあります。コンピュータ工学部は、電力システム、通信・信号処理、及び電磁気場理論等の研究を行なっています。
所在地 米国マサチューセッツ州ウスター


課題

フレッド・ルーフ博士とカール・バルテンスバーガー氏は、ウスター工芸大学で、生物がどのようにその環境を感じとるかについての研究を行なっています。この研究は、IEEEの学会誌で発表されて、触覚がどのように神経終端部から伝えられるかについて報告されています。彼らは、研究対象として猫を使いました。それは、猫の解剖学的構造が十分理解されていること、また、猫の触覚受容器が人間のものと類似していることによります。彼らは、特に猫の皮膚の感覚受容器がどのように特定の種類の機械的な刺激、例えば振動と圧力に反応するかについて調べました。

活動電位

感覚受容器は、神経系がより高度な処理をできるように、刺激を電気信号に変換する神経細胞です。受容器は、刺激に反応し複雑な化学反応を経て細胞膜全体の電位を変化させます。このような電位の変化は、活動電位と呼ばれ、受容器が受ける刺激によってその振幅と周波数が変化します。

雑音が多く可変の信号

フレッド・ルーフ博士とカール・バルテンスバーガー氏は、猫の皮膚の機械的な刺激の受容器を研究するために、神経細胞からの小さい反応を測るのに十分な高感度な研究装置を必要としました。また、雑音が多く可変の信号を容易に処理でき、それらの信号のグラフィック表示が可能である要件を十分満足するデータ処理ソフトウェアを必要としました。さらに彼らは、習得とその使用が簡単であるソフトウェアを必要としました。

ビームフォーマーのテスト
 

問題の解決

フレッド・ルーフ博士とカール・バルテンスバーガー氏は、DSP社のDADiSPを採用しました。DADiSPは、現在、猫の皮膚の受容器の反応を測定、記録、そして分析するための研究室の重要なツールとなっています。フレッド・ルーフ博士は、初めDADiSPのバージョン1.0から使い始め、それ以降ずっと活動電位データの分析のためにDADiSPを使っています。

活動電位を記録すること

IEEEの論文作成のために、猫は麻酔をかけられ、神経の試験に供されました。猫の関係する神経繊維を銀のかぎ状の電極で包みました。活動電位は、スピーカーでモニターされて、オフラインの分析のためにテープレコーダーで記録されました。研究者は、静かにガラスの棒で猫の足をなでて、音を聞くことによって、機械的な刺激の受容器の全体的な反応特性を確かめました。

感覚の信号処理

次に、ポイント・プローブが、より特定の情報を得るのに用いられました。このプローブは、円筒形のプローブ付き可動コイルモーター、位置センサーと電子コントローラから構成されています。このポイント・プローブは、システマティックに受容器上の異なる場所に接触されました。そして、その応答は、ローパス・フィルターをかけられました。そして、データは、DADiSPへ送られ、自己、相互スペクトル評価、伝達関数の計算、コヒーレンス関数の計算等種々の計算が行なわれました。

 
ベースバンド フィルター

簡単に新しい考えをテストできる

フレッド・ルーフ博士は、彼がDADiSPを高く評価するのは、新しい考えを簡単にテストできることである、と言っています。『インスピレーションを得て、それを試してみたい時、DADiSPを使えば、プログラムを書く必要はありません。DADiSPを使ってデータを直ちに処理することができます。また、データの処理法についてのアイデアを得るためにDADiSPを使うこともできます』。彼が必要とする信号は、記録することに多大な労力が必要ですから、DADiSPによってそれら信号の大部分を獲得できることは、彼の時間を節約し、経費を最小にするためにきわめて重要です。また、彼は、DADiSPの表示能力とユーザーの親しみやすさを大学生と大学院生の教育に役立てています。『私は、プログラムを書く必要がありません。我々が行なった実験で起こったことが、DADiSP上にありま。そして、そこに見えるデータがあります』 彼は、DADiSPが有用なオールラウンドのツールであると考えています。 数値モデリングのためのDADiSP フレッド・ルーフ博士とカール・バルテンスバーガー氏の猫の研究は、彼らが調べた皮膚の受容器のタイプは、強力な圧力下での差異より、軽いタッチではより大きな差異を示すことを示唆しています。フレッド・ルーフ博士は、現在、データを使って、触覚受容器のシステム構造の詳細で分析的な数値モデルを開発しています。彼は、アップグレードされたDADiSPを使って、基本的データ分析とデータ処理アルゴリズムの開発の多くが完了することを期待しています。