事例紹介

機械アプリケーション

適用業務:ブレーキの設計

ユーザー ヘイズ産業ブレーキ
会社概要 ヘイズ産業ブレーキ社は、産業機械、レジャービークル、オートバイ、自転車等のブレーキシステムの設計・製造を行っています。
所在地 米国ウィスコンシン州メクォン


課題

マウンテンバイクのブレーキシステムの性能は、山を下るライダーにとって非常に重要なものです。山のスロープをバイクに乗って下ることは、小道で岩や木の根のある場所をほとんど垂直降下することなので、非常に荒っぽいものです。また、ブレーキの制御は、速度とライダーの安全性に重要なことです。ヘイズ産業ブレーキ社は普通のゴム・ブレーキやディスクの代わりにスムーズで効きのよいブレーキとして、スピード・チェック ディスク・ブレーキを製造しています。

フィールドでのブレーキの性能要因の分析

研究開発室のスーパーバイザーであるコニン氏と機械設計エンジニアのブラツク氏は、スピード・チェック ディスク・ブレーキのテストと改善を担当しております。ディスク・ブレーキは、従来壊れやすい装着部品が使用されることになっていました。ヘイズ社は、3つの性能要因をフィールドで観察し、分析することにしました。

フィールドでのブレーキの性能要因の分析
 

問題の解決

ヘイズ社のチームは、ピスカー国立森林公園のフィールドでディスク・ブレーキをテストしました。 プロのライダーが、40分間公園内の林道をスピード・チェック ディスク・ブレーキ付きのマウンテンバイクを試乗しました。この試乗中に、3つの重要な部分がモニタリングされました。第1は、ブレーキ トルクを直接変換するタイヤのパッチ(車輪の滑り止め)の負荷です。第2は、この試乗中に実際に使用されるブレーキの圧力です。そのデータは、その後、寿命サイクルの疲労ファクターを決定するために使用されます。第3は、試乗中のブレーキの温度上昇です。スピード・チェック ディスク・ブレーキは、密封された油圧式のブレーキシステムで、開放的なブレーキシステムと比べ熱の影響を受けるので、急激な温度変化は、スピード・チェック ディスク・ブレーキの制動不良を起こさせる恐れがあります。

温度と圧力のモニタリング

フィールド テストに使用されるデータ収集システムは、SOMAT MTGで、1チャンネルの高解像度アナログ入力で構成されています。この1チャンネルでブレーキの圧力と温度の両方をモニターしました。コストとスペースの制限から2チャンネルは使用できませんでした。この2つの信号は、タイマー回路とマイクロ・リレーを使って切り替えることによって、1チャンネルに読み込まれました。温度は、ほぼ毎秒、残りの時間にブレーキの圧力がモニターされました。

データの表示と編集

データの表示と編集

コニン氏とブラツク氏は、DADiSPを使い、試験走行でのデータを表示し、分析しました。デジタル・レコーダからのデータは、第1のワークシートのウィンドウ1、3および6に、および第2のワークシートのウィンドウ8に表示されます。ウィンドウ1は、赤外線ピックアップから読まれた速度データです。それは、ブレーキ・ディスク中のスロットに対応するパルスを生成します。データ中のスパイクは、赤外線センサーによって拾い上げられた車輪中の振動を表わします。この関係のないスパイクは、DADiSPのREPLACEコマンドを使用して取り除かれ、その結果は、ウィンドウ2に表示されます。

 

データの抽出

ウィンドウ3は、温度と圧力が組み合わされたデータです。温度データは、データ収集に1チャンネルしか使われなかったことにより、ブレーキの圧力データの中に隠れています。しかし、DADiSPは、簡単にブレーキの圧力データから温度データを抽出できます。REPLACEコマンドが、圧力レンジの外側のデータを0にするのに使われます。これにより、温度データが取り除かれます。その結果、ブレーキの圧力データは、ウィンドウ4に表示されます。また、データをCLIPおよびREPLACEするためのマクロがウィンドウ3に適用されます。その結果、温度データが抽出され、ウィンドウ5に表示されます。

歪みゲージによるフォークの測定

ウィンドウ6と8は、データ収集システムで計算されたバイクのフォークの歪みゲージのデータです。フォークの折り曲げ負荷を測定するためにこのゲージが取り付けられました。このデータに現れるマイナスの値は、ライダーが荒れた地形を乗り越えるような時に、フォークを前に押すライダーの重量に対応しています。ブレーキの圧力は、X軸のフォークの歪みに対してY軸にプロットされます。それは、右左のフォークに対してそれぞれウィンドウ7と9に表示されます。これらのグラフ上の点は、大部分のフォークの歪みが、ブレーキの圧力に対して、どこに広がるかの一般的な表現を与えます。

歪みゲージによるフォークの測定
 

タイヤ・パッチの負荷

試験走行中のタイヤ・パッチの負荷データは、ウィンドウ10に表示されます。タイヤ・パッチの負荷は、ウインドウズ6と8でフォークの歪みデータの平均をとり、0.0597倍することにより計算されます。この数値は、フォース・ゲージを使ってホイールの底に力を加え、かつブレーキをかけた時の歪みレベルの記録をとる実験によって、研究室で決定された値です。タイヤ・パッチの負荷は、ライダーの正確な体重とバイクの荷重が分かる場合に減速値を決定するために使用されます。しかし、これらのテスト期間中の主な関心事は、構造部品に関してのものです。

DADiSPは大容量データ・ファイルを容易に扱えます

これらのフィールド テスト中に収集したデータは、ブレーキをダイナモメータでテストするときに使用されるパラメーターを決定するのに用いられます。DADiSPはそれらのテストの解析にも使われています。コニン氏によると、『DADiSPは、一般的なスプレッドシート ソフトウェアーにない大容量データ・ファイルの操作を可能にしてくれました。また、1チャンネルを使って2つの入力データを多重化してデータ収集をし、解析時に別々に分離できるDADiSPの能力によって、既存の設備を使い、時間内にマウンテンバイクのテストを完了させることができました。これは、十分評価できます』。これらのテストの結果は、スピードチェック ディスク・ブレーキ ユニットの生産方法を改善するのに使用されました。スピードチェック ディスク・ブレーキの発表以来、このブレーキは、何千もの顧客を満足させ、人気製品となりました。