事例紹介

機械のアプリケーション

適用業務:高速繊維研究用試験機データの分析

ユーザー 香港科学技術専門学校/ロンドン校
会社概要 香港科学技術専門学校は繊維と縫糸の機械的特性を研究しています。
所在地 ロンドン、英国


課題

衣類メーカーが生産性の向上のために競争することで、産業において最も注目され研究されているものは欠陥を生じずに高速で縫うことのできる繊維と縫い糸の組み合わせを見つけることです。裁縫は昔から行ってきたことの一つで、広範囲にわたって複数のパラメータが含まれているため自動化するのが困難です。例えば、衣類をまとめることについては、繊維と縫糸の選択・ステッチサイズと縫糸の張り具合の変化・材料の異常を補償できるパラメータが必要になります。香港科学技術大学ロンドン校のRichard Chmielowiecは『sewability』と呼ばれる、生産過程における欠陥(例えば縫い目のゆがみ)が起こらずに縫えるような繊維と縫糸のコンビにはどんな特徴/性質があるのかを認識するシステムを構築する研究をしています。彼は上手く縫うことで変数がどのように変化するかを決定するために高速で縫うときの動的な状態を調査しました。

ソーイング解析をするためのソフトウェア

Chmielowiec社のRSTM/SPMS測定器はETSステーション(Experimental Testing Sewability Station) )と呼ばれ、RSTMは(Richard's Sewability Testing Method:RichardのSewability試験法)を表します。また、SPMSは(Seam Pucker Measuring System:縫い目のシワを測定するシステム)を表します。測定器にはいくつかのセンサーが付いており、加えて最新技術であるPfaff二重縫いミシンを搭載しています。また、織物の評価には画像処理解析方法を 用いています。ステーションのデータを解析ソフトウェアは研究者達が短時間で覚えられ、容易に使用できる多様な解析を行えるような柔軟性を持ち、メニューにより操作できるようなものでなければなりません。また日々変化する使用器具や解析手法の変化に対応するように、他のソフトウェアやハードウェアとの互換性が非常に高いものでなければなりません。

問題の解決

Richard Chmielowiec は、縫い物の研究ステーションでは柔軟性のあるグラフィックディスプレイと解析性能を持った、DSP Development Corporation社の画像表示・データ分類ソフトウェアであるDADiSPを用いました。

 
ステッチデータの収集

ステッチデータの収集

RSTM試験中に、Pfaffミシンによって真っすぐに縫われた際の信号を6台の変換器で獲得します。1台のA/Dセンサーは今後設計仕様が変化しても対応できるように装備したもので現在は使用していません。他の3つから針の貫通力(NPF)、ミシンの押さえ金(PFF)、裁縫時の糸の調子(STT)を得ます。残りの2つからデジタル信号(PFD:押さえ金の変位)とリアルタイムな信号/システムの較正を得ます。データは、1シャフト回転(針がステッチを行うために上下に繰り返し動くときの動作)当り最大480点得られます。4つのA/D信号NPF・PFF・STT・PFDはグラフ化して表示されます。これらの信号は拡大され、6つ全ての信号はデータ変換ボードを通じて変換され、その後ソフトウェアによって獲得します。データは、パソコンに移され、そこからプロットやプリントされます。

繊維の特性解析

十分な量のデータを獲得できたら、より詳細な解析を行うためにはDADiSPを用います。入ってくるデータに対してノイズとピークを分離した信号を時間・周波数の2つの領域から得られます。最終的に、繊維と縫糸の特性を試験結果と比較し、試験パラメータと縫い目ゆがみの発生率の相関を求めます。

効率基準化を行うためのDADiSP

Chmielowiecは「多量データを複数のフォーマットで保管できるDADiSPの能力を非常に評価している」と述べています。また、「DADiSPは柔軟性をもっているため、私の新しいアイデアでの解析でも使っていきたい」と語っています。彼の作成した機器は成功したことが証明され、香港科学技術専門学校で永久的に使用されることになりました。彼の行ったような研究は、最終的に産業全体の効率基準と適切な材料の選択を上げるものになります。