事例紹介

物理学アプリケーション

適用業務:太陽の直径測定データの分析

ユーザー NASA/ゴダード宇宙旅行センター・大気研究所
会社概要 NASA/ゴダード宇宙旅行センター・大気研究所の契約人であるLaurence Twiggは太陽の直径と扁平率の変化を見つけ、この変化と世界的な気候の関連を調査するためにSolar Disk Sextantにより取得したデータを用いた解析を行いました。
所在地 ランドローバー、メリーランド州

課題

太陽は我々の太陽系の中心です。太陽はエネルギーの塊で、その一部が我々の住む地球に光と熱として届きます。太陽の研究分野に最大の関心があることは不思議なことではありません。太陽の研究で特に興味のある1つは太陽の正確な直径の測定です。

太陽定数が気候へ与える影響

太陽の直径を測定する主な理由は、太陽の直径と世界の気候の変化に何らかの関係性があるのではないかという説があるからです。長期的な気候の変化の原因とされてきたものの1つは太陽定数の変化です。太陽定数とは太陽と地球の平均距離において単位時間当たりに単位平面が垂直に受ける太陽光線全体の放射エネルギーのことを言います。定数の値は1平方センチメートルにつき毎分およそ2カロリーで、太陽活動による変化によって多少変化します。世界全体で様々な気候があるのは、各地域が受けている太陽からのエネルギーの違いが要素となっていることから、太陽定数と地球の気候の変化との間には直接的な関係があります。太陽定数が0.5%変化すると気候の変化が顕著に表れると言われています。

太陽データの処理

太陽データの処理

太陽定数がどのくらい変化しているかを直接測定する明確な方法があります。いくつかの風船と衛星を用いた実験がそれです。これらの実験は、データの存在している太陽活動の周期1回分である約11年の間で太陽定数が0.1%変化したことを示しました。このプロジェクトの目的はもっと長い時間での変化を見つけることです。これを達成するために、地球の平均温度のような気候の変化と太陽の明度(光度)の相関を調べました。正確な地球の気温であれば150年分のデータがありますが、それに対応する太陽の明度の記録はありません。しかし、太陽の直径の変化記録は日食の解析結果として存在しています。太陽の明度の変化に伴い太陽の直径が変化していることから太陽が世界的な構造を支配するという方程式があるのは事実であると示されています。

 

太陽定数の決定

直径と明度が同時に変化することを測定することで、直径と明度に関係のある太陽定数も変化するというのが仮説です。150年間に渡る太陽の直径のデータを明度の変化の計算に使用することが出来ました。気温の記録とこの情報を用いることで太陽の変化は気候が変化に影響するかどうかを明らかできるかも知りません。

問題の解決

太陽面六文儀(SDS)は、太陽の直径をミリ角レベルで測定するためにNASAとエール大学によって共同開発されたものです。SDSを何度か成層圏バルーンを用いて飛ばしました。各SDSは4ギガバイトのデータを生成し、NASA/ゴダード宇宙旅行センター・大気研究所の契約人であるLaurence Twigg が解析や整理に用いました。DADiSPはこのデータの解析と整理において大きな役割を果たしました。

 

統計的な相関関係

データを整理してそのデータの『長所』を表示するために100から200の補助的なパラメータを生成します。その間に、最終的な結果を得るための主要な整理ステップを3つ踏む必要があります。さらに、この期間にわたって太陽の直径との相関関係を算出するためのデータ整理は、多量の数値データのチェックをしなければならないので時間がかかり、問題となる可能性があります。DADiSPのコマンドファイルの特徴は、この相関関係を見つけて、それをプロットし、報告する処理を自動化するために頻繁に使用しました。

太陽の端の明度の特徴

太陽の端の明度の特徴

上記の処理結果の一つをワークシートに示しました。この例では、SDSが飛行していた間に太陽面の端における明度の変化を観測した、明度変化のグラフを示しています。 4時間間隔で観測した太陽面両端の明度データを図1のウインドウ5とウインドウ6に示しています。ウインドウ5とウインドウ6を重ねたものをウインドウ7に表示しています。相関分析をした後のこれら2つの差をウインドウ8に示しています。例えば焦点を変更するというような器具に対する仕様を変化した場合でも、この方法を適用できます。前述のように、全過程はDADiSPのコマンドファイルを用いることで自動化されています。

太陽の扁平率の変化

太陽の扁平率の変化

太陽の直径を測定では、太陽の扁平率も測定されます。回転と回転率の変化の影響を受けるため太陽はわずかに楕円形であり完全な球体ではありません。時間変化によるこの扁平率とその変化具合を測定することで、流体力学や相対性物理学といった多彩な分野で使用される情報を得ることができます。扁平率を測定するために、望遠鏡を2,3分に一度回転させます。そして約40分で17回の直径の測定を行います。SDSの飛行で測定した扁平率の結果をワークシートに示しました。

 

太陽物理学のためのDADiSP

これらの実験において較正されたデータが、他の太陽物理学の調査にも用いることができます。またDADiSPは処理過程においてデータの最終チェックや較正の速度をあげるものとしても利用 できます。現在の飛行と以降の飛行時のデータを用いることで、太陽の直径の変化は関心をもって連続的に観測することができ、その長期的な変化は太陽の明度の変化に関わっているかは分かるでしょう。DADiSPは、このような太陽の研究に対して生成される多量なデータから、利用できるデータを効率的にみつけることができます。「要約すれば、SDSのデータ解析処理によって得られる多くの診断変数を可視化するためにDADiSPを用いた、そしてDADiSPはそれらの間に存在する多くの相関関係を示したくれた、また、関心のある相関関係を自動的に印刷するためにSDSからのデータ全体の整理と解析の速度を速めてくれた」と言っています。