事例紹介

振動・衝撃アプリケーション

適用業務:橋の崩壊原因の調査・分析

ユーザー コネティカット大学
会社概要 コネティカット大学は振動をモニタリングすることで橋の構造的安全性を評価します。
所在地 ストーズ、コネティカト


課題

コネティカット高速橋の100フィートの区間が崩壊し、マイアナス川に落ちました。この事故で3人が亡くなり、3人が重症となりました。橋の修復には3ヶ月間かかりました。その間、何十万人ものドライバーは別の道を探さなければなりませんでした。修理には、保険金を除いても2300万ドルもかかりました。わずか9ヶ月前に橋の点検をしたばかりなのに、なぜこのような事故が起きてしまったのかを資金を追加し、調査することにしました。

 
構造的に不十分だった橋

構造的に不十分だった橋

老朽化と予想以上の使用から、アメリカにある59万もの橋のおよそ35%が構造的に不十分、もしくは機能的に時代遅れのものであると見積もられました。崩壊の危険性のあるものやそれに準ずるものを修復するように政府に呼びかけました。規則として橋は2年ごとに、特に老朽化が進んで崩壊の危険があるものについては更に頻繁に点検しなければなりませんが。現在構造物の欠点は人間の点検によって行っています。それではとても間に合わないので点検技術の改善が必要求されています。

 

柔軟で強力なソフトウェアの必要性

コネティカット大学の研究者達は振動をモニタリングすることで橋の構造的安全性を評価することが実現可能かどうかを研究しています。原子力発電所や沖合にある工業用建築物の構造的欠陥は一般的に動特性の評価を行っています。橋に掛かる荷重も移動するのでこのような方法を用いることが一番であると考えられています。実物大の監視システムのプロトタイプがコネティカット大学とVibra-Metrics社で製作されました。コネティカット大学では橋の構造条件から非破壊状態を評価する方法を提案しました。その方法は研究室で試験され、現在ではコネティカット橋で試験されています。このプロジェクトで必要なのは、問題を解決するための柔軟で強力なソフトウェアです。そして研究進行に遅れが出ないようにソフトウェアが使いやすいものである必要もあります。

問題の解決

研究チームは橋のモニタリングをサポートできるソフトウェアとして、DSP Development Corporation社の画像表示・データ分類ソフトウェアであるDADiSPを用いました。

 
橋からのサイン

橋からのサイン

コネティカット大学の製作した橋のモデルを用いた研究によって橋は固有振動数やモード形など、人間にたとえると指紋のように固有の『サイン』が存在することを示しました。(モード形とは固有振動数において橋がどう変化するかを表したものです)                橋の剛性を変更すると『サイン』も変更します。質量、速度、橋を渡っている車の位置が変化しても固有振動数とモード形には影響がありません。よって、構造状態評価するためにこれらの変数長期にわたりモニタリングすることは意味がある。

 
固有振動数

固有振動数

ibra-Metrics社が開発したモニタリングシステムは16個の加速度計と2つのクラスターボックス、そしてコンピュータに収納するsentry unitを内蔵しています。振動を観測するために用いられる加速度計は、橋の桁や複数の箇所に磁力で取り付けられます。橋の個別特性を確立するため、橋がどのように揺れたかの時間軸グラフを作成します。その後、グラフをモニタリングシステムのソフトウェアを通して周波数領域に変換し、周波数スペクトルをDADiSPにインポートします。そのデータを用いて固有振動数のピークがモニタリングに使用できるかどうかを決定するために解析を行います。

周波数のピーク

各データの獲得ごとに新しいDADiSPのラボブックを作成します。3枚のワークシートをそれぞれ6つのウインドウを持った形で作成します。各ワークシートのデータは、橋の桁もしくは中央部の加速度計のグループに分かれます。全ての加速度計が共通して持つ固有振動数のピーク特性を認識するためにDADiSPのZOOM・OVERPLOTコマンドを用いました。共通するピークは、固有振動数もしくはシステム雑音のどちらかに対応してしまいます。しかし、固有振動数は特有のモード形を持っていますが、システム雑音にはそのような特徴が無いので区別することができます。モード形を定めるため、DADiSPの相互相関マクロであるFCROSSを用いて位相算出します。これによって、スペクトルクリーンアップ技術によってはっきりと周波数スペクトルに強弱をつけることができます。例えばFFT漏れを取り除く機能を持つウインドウは、固有周波数のピークを広げることはできますが誤解を招く恐れがあるためマクロを使用しました。

DADiSPは大規模なデータセットを簡単に処理できます。

Dean Bagdasarianは大規模なデータセットの操作とその保存機能優秀さを好んでいます。彼は、DADiSPを使うことで仕事が楽になったと感じています。また、「DADiSPは視覚による確認を簡単にできるようにしてくれた、そして多種多様なデータの種類から得られた膨大なデータの解析をすばやくしてくれた。DADiSPはデータの解析と分類を行い、さらに全てをまとめておいてくれた」と述べています。彼は研究チームが抱えた互換性の問題をサポートしてくれたDSP Development社の技術スタッフを高く評価しています。その他もDADiSPにあらゆる機能で価値できるツールが含まれていることも高く評価しています。彼らは将来更にDADiSPを活用させ、橋を崩壊させないために安全性を確実に発見する方法を提案し、どの橋が修復の必要があるかを示してくれるでしょう。